キリスト教と音楽

クラシックの源流はキリスト教の聖歌です。宗教曲には、賛美歌、聖歌、ミサ曲、モテット、カンタータ、コラール、オラトリオ、レクイエムなどがあります。これらの曲は、ミサ典礼文や聖書に基づいたテキストによって構成されています。

1. 讃美歌

賛美歌とは、キリスト教の神や聖人をたたえる歌です。礼拝や集会などで一斉に歌うことが多く、信仰を励ます歌です。賛美歌は、ギリシャ語の「ヒュムノス」に由来し、賛歌と本来は同義です。しかし、賛歌はカトリックの特定の典礼歌を指すのに対し、賛美歌は民衆的な賛美の歌を指します。数百の歌詞があり、「アメイジンググレイス」「きよしこの夜」「もろびとこぞりて」など、一般的にも良く知られている曲があります。

賛美歌集は、礼拝(開会、閉会、信仰告白)、教会暦ないしイエス・キリストの生涯(待降、降誕、公生涯、受難、復活、再臨)、信仰生活といった項目ごとに構成されることが多いです。

2. 聖歌

聖歌とは、神聖な歌や宗教歌のことで、特にキリスト教の賛美歌を指します。古代や中世から続く宗教歌で、典礼に用いられます。有名なものには、グレゴリオ聖歌やビザンチン聖歌などがあります。聖歌は、東方教会(正教会・東方諸教会)、カトリック教会、聖公会、プロテスタント諸派の中の日本福音連盟などが使っている言葉です。

聖歌は、賛美歌よりも意味が広いので、場合によっては賛美歌のことも含んで「聖歌」と呼びます。

3. ミサ曲

ミサ曲(ミサきょく)は、カトリック教会のミサ(感謝の祭儀)に伴う声楽曲です。ミサは、聖体拝領を伴う典礼儀式の中で最も重要なもので、東西分裂前に発する伝統を持っています。ミサの典礼文の一部が多声で作曲され、聖歌隊など音楽家によって演奏されるようになります。ミサ曲は、基本的に通常文をテキストとしているため、作曲された時代背景が異なっても、歌詞そのものは一定です。

ミサ曲は、キリエ(哀れみの賛歌)・グロリア(栄光の賛歌)・クレド(信仰告白)・サンクトゥス(感謝の賛歌)・アニュスデイ(平和の賛歌)の各曲より構成されます。カトリックの礼拝に組み入れられている歌であり、宗教曲です。カトリック以外ではミサという呼び名はしませんが、元々、西洋音楽の歴史は教会音楽の歴史と共に歩んできました。

4. モテット

モテットとは、ミサ曲以外のポリフォニーによる宗教曲を指す声楽曲のジャンルです。中世末期からルネサンス時代にかけて成立・発達しました。モテットは、主を讃える賛歌のような歌詞で、主に葬式に用いられます。モテットは、中世の無伴奏多声部合唱曲が起源で、歌詞には聖書の言葉が用いられていました。

モテットは、バロック後期以降は、バッハに代表される、ポリフォニーによる短い宗教的合唱曲を指すようになりました。モテットは、フランス語の「mot(モ)=言葉」に由来すると言われています。

5. カンタータ

独唱・重唱・合唱および器楽伴奏から成る大規模な声楽曲で、交声曲。

6. コラール

コラールとは、ドイツのルター派教会で用いられる賛美歌のことです。コラールは、宗教改革者マルティン・ルターが推進した、単純で歌いやすい旋律をもつ新しい賛美歌です。グレゴリオ聖歌など、各種の聖歌や教会歌の総称としても使われます。

コラールのメロディーは、元は民謡・流行りの歌であったり、カトリックの聖歌由来であったり、ルターが作曲していたり、流行歌で替え歌を作ったりしたものがあり、キリスト教会で伝統的に歌われてきた単旋律に他の3声を下声として付け加えて4声とした合唱曲の総称です。

コラールの例としては、バッハの有名なカンタータのコラール「神は我が堅き砦(神はわがやぐら)」が挙げられます。

7. オラトリオ

オラトリオは、宗教的な題材に基づいた大規模な楽曲で、独唱、合唱、管弦楽で構成されています。オラトリオは、オペラとは異なり、演技を伴わず、通常は舞台装置や衣装を使用せず、演奏会形式で上演されます。

オラトリオは、1640年頃にイタリアで始まったバロック音楽を代表する楽曲形式のひとつです。有名なオラトリオには、ヘンデルの「メサイア」やハイドンの「天地創造」などがあります。オラトリオは、ラテン語の「オラトリウム」に由来し、「小さな礼拝堂」を意味します。

8. レクイエム

レクイエムとは、キリスト教カトリック教会で、死者のために行われるミサのことです。レクイエムは、死者の安息を神に願うためのミサであり、死者を悼み、死後の安息を祈るための典礼でもあります。ラテン語で「安息を」という意味の「requiem」に由来しています。ミサは、パンとぶどう酒をイエス・キリストの体と血として分かち合い、キリストの死と復活を記念する儀式です。レクイエムは、ミサの中でも死者に奉げるための特別な物であり、独自の形式を持っています。

レクイエムは、日本語では「鎮魂歌」と訳されることもあります。

クラシック音楽の宗教曲には、モーツァルト、バッハ、ベートーベン、フランツ・リスト、マーラーなどの作曲家の作品があります。

モーツァルトの宗教曲には、ミサ・ブレヴィス ト長調K.49、ミサ・ブレヴィス ニ短調K.65、ドミニクス・ミサ ハ長調K.66、孤児院ミサ ハ短調K.139、パストラール・ミサ ト長調K.140、三位一体ミサ ハ長調K.167、小クレド・ミサ ヘ長調K.192、ミサ・ブレヴィス ニ長調K.194などがあります。

バッハの三大宗教曲は、ミサ曲ロ短調、マタイ受難曲、ヨハネ受難曲です。ベートーベンの宗教曲は、オリブ山のキリスト、ミサハ長調、ミサ・ソレムニスの3曲です。フランツ・リストの宗教曲には、死の舞踏があります。マーラーの宗教曲には、交響曲第8番第1部 『来たれ、創造主たる聖霊よ』があります。

また、宗教曲の中でも特に有名な曲は以下の2曲ではないかと思います。

モーツァルト「怒りの日」

ヴェルディ「怒りの日」

関連記事

TOP